紛争調整委員会によるあっせん

1 紛争調整委員会によるあっせんとは

紛争調整委員会によるあっせんとは、当事者間に、弁護士等の学識経験者である第三者が入り、双方の主張の要点を確かめ、紛争当事者間の調整を行い、話し合いを促進することにより、紛争の円満な解決を図る制度です。

会社(被申請者)はあっせん手続に参加しなければならない義務があるわけではなく、あっせん手続に参加するか否かは自由です。

ただし、下記のとおり、あっせん手続は会社側にとってもメリットが大きい制度ですので、必ず手続には参加するようにしましょう。

3名のあっせん委員のうち、指名された1名が当事者に対して交互に事実関係の確認をして、調停の成立を試みます。

期日は1回のみ開催され、申請費用は無料です。

 

2 あっせん手続の流れ

① 労働者が労働局にあっせんの申請をします。

② 1週間ほどすると、会社にあっせん開始通知書が送付されます。

この時点では、あっせん委員3名は分かりますが、そのうちの誰が指名されて担当するかまではわかりません。

③ 会社があっせん手続に参加するか否かの回答期限が1週間ほど設けられます。このとき、会社としては、参加不参加の回答のみをすればよく、反論書は後日提出しましょう。

④ 参加の回答の提出後、期日の日程調整に入ります。期日までの期間は、どれだけ短くとも2~3週間はあるのが一般的です。

⑤ 期日が決定したら、その1週間前には弁論書を提出しましょう。

なお、労働局によっては、会社に早期に弁論書を提出させ、労働者に開示して再反論を求めることをしているところもありますが、相手に下手に構えさせてしまうおそれがありますので、あまり早期に弁論書を提出することはお勧めしません。

 

3 弁論書作成のポイント

 弁論書はA4で5頁程度にまとめましょう。あっせん委員は多忙ですので、あまり長い書面を作成しても、うまく伝わりません。証拠も必要な範囲で添付しましょう。

その際、和解の方針についても具体的に記載しましょう。具体的な和解の方針を記載することで、あっせん委員もその内容を意識していただくことができ、調停がまとまりやすくなります。

弁論書は相手方に開示をせずに、あっせん委員から口頭で説明してもらうようにしましょう。相手方が弁論書そのものを読むと感情的になり、調停がまとまらなくなるおそれがあります。

弁論書に、「本弁論書及び添付資料は、申請人に開示することは望んでおりませんので、念のため付言いたします。」と一言記載しておけばよいでしょう。

 

4 調停のポイント

 期日は1回しか開かれませんので、事前に和解案や譲歩できる範囲を決めておいてください。

期日の当日は、決裁権者に同行してもらうか、もしくは電話で確認をとれる状態にしておいてください。

和解が成立した場合、原則として、期日で署名押印するため、会社の代表者印を持参することが必要です。代表者印を持参することが難しい場合、労働局によっては、合意書を後日郵送で送付し、調印するという対応をとっていることもあります。ただし、相手方はご本人ですので、後日になって気が変わるということもあり得ます。

やはり、当日に調印するのが望ましいでしょう。

 

5 会社側の対応

 労働者に資力がなく、弁護士へ依頼しないケースでは、外部労組に加入され、団体交渉の申し入れや街宣活動等へ発展するリスクがあります。

その一方で、労働者が単独で交渉に臨んでもらった方が、話し合いがまとまりやすいケースも多いです。

そこで、会社としては労働者に対し、「労働局のあっせん申し入れをしていただければ、あっせん手続での話し合いには応じます。申立費用も無料です。」等と説明して、労働局のあっせん手続をしてもらうように促すのもよいでしょう。

上記のとおり、あっせん手続は早期に紛争が解決する可能性があり、会社側にとってもメリットが大きいので、必ず手続には参加するようにしましょう。

紛争調停委員会によるあっせん問題に関してお困りの経営者の方は、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。

以 上

 

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