事業場外みなし労働時間制

1.事業場外みなし労働時間制とは

 事業場外みなし労働時間制とは、所定労働日に、事業外で業務に従事し、労働時間を算定しがたい場合には、所定労働時間労働したものと「みなされる」制度です(労働基準法第38条)。

 外周りの多い営業社員に導入しようと考えている会社も多いと思います。具体的には、当該事業所における所定労働時間が7時間であれば、仮に実労働時間が10時間であっても7時間とみなされるというものです。

 ただし、休日労働については、みなし労働時間制の適用はありませんので、実労働時間で計算する必要があるとにご注意ください。

 ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要になる場合は、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を労働したものとみなされます。具体的には、業務の内容から通常10時間は必要な作業であった場合には、労働時間は10時間と算定されます。

 問題は、必要かどうかが不明確な点にあります。トラブル防止のため、事前に「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を労使協定で定めておくことも検討されるとよいでしょう。

2.事業場外みなし労働時間制の導入要件

 事業場外みなし労働時間制の導入要件として、みなし労働時間制の対象となるためには次の要件を満たす必要があります【改正労働基準法の施行について(昭和63年1月1日基発第1号)】。

① 事業場外で業務に従事し、かつ、

② 使用者の具体的な指揮監督が及ばず、

③ 労働時間を算定することが困難な業務であること

 

 したがって、次の場合のように、事業場外で業務に従事する場合であても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間制の適用はありません。

① 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合

② 事業場外で業務に従事するが、無線や会社が支給している携帯電話等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合

③ 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場にもどる場合

3.事業場外みなし労働時間制が否定された例

 判例には、営業社員に対して、携帯電話を使用して指示を与えていたことや、携帯電話と各営業社員から提出される行動予定表から営業社員の労働時間を把握することが可能であるとして否定された例や、海外の添乗員に対して、行程表や報告書があることを理由として否定された例があります。

 

 事業場外のみなし労働時間制問題についてお悩みの経営者の方は、この分野に詳しい弁護士にご相談くだ
さい。

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