Q.人材派遣会社を設立し、グループ企業に派遣を行おうと考えて いますが、労働者派遣法上、問題がありますか?

質問

 グループ企業内で人件費の節約を目的に、人材派遣会社を設立し、グループ企業に派遣を行おうと考えて いますが、労働者派遣法上、問題がありますか?

回答 

1.労働者派遣法で禁止されている「専ら派遣(もっぱらはけん)」に該当するおそれがあります。専ら派遣とは、専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われる労働者派遣事業をいい、派遣先を特定の1社または複数の会社に限定していたり、グループ企業内へ派遣したりすることもこれに該当します。「専ら派遣」が禁止される趣旨は、労働者派遣事業が、労働力需給調整システムの1つとして認められるものですので、その機能を持たない、特定の者のみに派遣しているいわゆる専属派遣会社は第二人事部的なものとなり、必ずしも適当ではないからです。

 

2.専ら派遣に該当するか否かは、次の3つの点を判断基準としています。

【判断基準】

①定款等の当該事業目的が専ら派遣となっている。

②派遣先の確保のための努力が客観的に認められない(顧客獲得のための営業活動をしていなかったり、広告宣伝活動を行わない等)。

③他の事業所からの労働者派遣の依頼を、正当な理由なく全て拒否している。

 

3.また、2012年の改正派遣法で、「グループ内派遣」の定義が示され、グループ内派遣の割合も8割以下と義務付けられました。この8割規制ですが、派遣会社の派遣労働者数の8割ではなく、グループ内企業へ派遣した派遣労働者の派遣労働時間数が全派遣労働者派遣労働時間数の8割を超えるか否かで判断されます。 なお、定年退職者のグループ企業内での派遣労働時間は除外できます。

 

4.労働者派遣法は、「専ら派遣」を目的としないことを、一般労働者派遣事業の許可基準等として規定しており、厚生労働大臣は、「専ら派遣」が行われている場合において、必要があると認めるときは、派遣元事業主に対し事業の目的及び内容の変更を勧告することができるとされています。勧告後も是正が認められない場合は、事業停止命令や許可取消処分が下されることになりますので、ご注意ください。

 

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