退職する社員の賞与支払い
1.賞与の意義
賞与は、定期又は臨時に原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、予め、その支給額が確定されていないものをいいます。
一般的には、会社の業績に応じ、夏・冬の年2回支給されることが一般的です。
2.賞与請求権
賞与請求権は、通常、労使交渉による合意又は使用者の支給条件の決定によって発生します。もっとも、就業規則上、賞与の算定基準や支給方法が具体的に定められている場合には、就業規則の定めに従って、発生します。
3.賞与の支給日
在籍要件の有効要件会社によっては、賞与は、支給日に在籍する者に支給する旨の「支給日在籍要件」を設けているところもあります。この「支給日在籍要件」を設けることは、「合理性」があり有効であるとするのが最高裁の立場です(大和銀行事件/最判昭和57.10.7)。
ただし、支給日在籍要件が合理的な内容であるとして有効になるためには、就業規則などで定められた支給日に実際に賞与が支給されることが必要ですので、ご注意ください。
4.賞与の支給日
在籍要件の適用範囲自己都合退職者の場合は、上記3の理解でよいと思いますが、定年退職や死亡による退職、希望退職制度に応募した退職の場合、自ら退職時期を選択できるわけではないことから、別途検討が必要です。
まず、支給日在籍要件は、受給資格者の範囲を明確に確定する点で不合理とはいえないことから、自ら退職日を選択し得ない定年退職者や死亡による退職者について、支給日在籍要件を適用することも認められています。
また、希望退職制度に応募した退職の場合も、当該制度の適用を申請せずに賞与を受給することもできたのですから、支給日在籍要件を適用する前提となる「支給日」と、希望退職制度に基づく「退職日」があらかじめ従業員に対して周知されていれば、支給日在籍要件を適用することも認められるでしょう。
2労働条件の問題についてお困りの経営者の方は、ぜひ一度労務問題に詳しい弁護士にご相談ください。以上