繁忙期の有給休暇と時季指定権
1.年次有給休暇
年次有給休暇の権利は、雇入れの日から6ヶ月継続勤務し所定労働日の8割以上出勤した労働者に法律上当然に生じます。
それ以降は、継続勤務1年ごとに1日、継続勤務3年6ヶ月以降は2日を増加した日数(最高20日)を与えなければなりません。
また、原則として、1日単位で与える必要がありますが、半日有給休暇も通達で認められていますし、労使協定を締結した場合には、5日以内で協定した日数については、時間単位で取得することができます。
なお、自主退職・懲戒解雇になった以降は、有給休暇は使えません。また、有給休暇の買い取りは法的には要求できないので注意してください。
パートタイム労働者の場合、もともとシフトで勤務日として決まっているところしか、有給休暇は使えません。
2.労働者の時季指定権と使用者の時季変更権
使用者は、労働者の請求する時季に有給休暇を与えなければなりません(労基法39条4項本文)。その際、使用者の承認は不要であり、労働者は休暇をとる日・期間を特定して使用者に届け出ればよいことになっています。
ただし、繁忙期の有給休暇請求等、使用者は、請求された時季に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」は、他の時季に与えることができます(これを使用者の時季変更権といいます。労基法39条4項但書)。
なお、「事業の正常な運営を妨げる場合」については、1日ぐらいだと難しく、長期にわたる場合などがこれにあたる可能性があります。年次有給休暇の問題についてお困りの経営者の方は、ぜひ一度労務問題に詳しい弁護士にご相談ください。