就業規則の作成方法
1.過半数組合又は過半数代表者からの意見聴取
まず,使用者は,就業規則の変更について,事業場の過半数組合(それがない場合には過半数代表者)から意見を聴取しなければなりません〔労基法90条1項〕。あくまで意見を聴取すればよく,協議することや合意を得ることまでは必要ありません。
ここで注意しなければならないのが,過半数組合がない場合の過半数代表者の選任です。過半数代表者は,労働者側の代表でなければなりません。そのため,使用者の意向によって選出された者は不適格です。また,管理監督者の地位にある者も,使用者に近い立場ですので,不適格となります。
2.労働者に対する周知
次に,使用者は,作成した就業規則を,以下の方法で労働者に周知しなければなりません〔労基法106条,同法施行規則52条の2〕
①常時,各作業場の見やすい場所へ掲示するか,又は備え付けること
②書面を労働者に交付すること
③磁気テープ,磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し,かつ,各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
周知が不十分な場合,せっかく作成した就業規則が無効と判断されることがあります〔労働契約法7条〕。
3.所轄の労働基準監督署長への届出
さらに,使用者は,就業規則を所轄の労働基準監督署長へ届け出なければなりません〔労基法89条,同法施行規則49条1項〕。このとき,1で聴取した過半数組合(又は過半数代表者)の意見を記した書面を添付しなければなりません〔労基法90条2項〕。
複数の事業場を有する場合,原則として、事業場ごとに届出が必要です。ただし,本社事業場と各事業場の就業規則が同一である場合は,例外的に,本社事業場でまとめて届け出ることも可能です(本社一括届出)。もっとも,この場合でも,1の意見聴取は事業場ごとに行わなければなりません。