私立学校に特有の時間外労働問題

1 はじめに

現在,少子化による学校の経営環境悪化による入学生の獲得競争の激化,コロナによる授業再開により学校教員への負担が増加しています。教員の負担が増える中,法規制を十分に理解しないまま教員に残業を行わせることには大きな法的リスクが存在します。

2 私立と公立の違い

公立学校と私立学校の教員では,残業について適用される法律が異なります。

公立学校の場合,給特法と呼ばれる法律が適用され,残業代は払われません。代わりに,給料月額の4%に相当する教職調整額が支給されます。

 

一方で,私立学校の教員には,一般の労働者と同じく労働基準法が適用されます。この場合,学校は原則,教員に法定労働時間である1日8時間,週40時間を超える時間外労働を命じることが出来ません。時間外労働をさせる場合には,あらかじめ労使間で協定書(36協定)を作成し,労働基準監督署に届け出る必要があります。36協定を締結していても,時間外労働は一か月45時間,1年間で360時間という上限規制がありましたが,限度時間を超えた時間外労働が発生する可能性がある場合には36協定届に理由と延長時間を明記すれば、明記された範囲内で36協定届に記載された限度時間を超えることが可能でした(「特別条項」)。

 

しかし,働き方改革により特別条項にも時間外労働の上限規制がなされ,現在では 1カ月45時間を超える時間外労働の回数は6回以内,時間外労働は月100時間未満,複数月平均80時間以内,1年間で720時間以内と規制されています。

3 私立学校の抱える法的リスク

このように,私立学校の教員の時間外労働については,厳しく法規制がなされています。しかし,私立学校側にこのような認識がなく,労使間で36協定を締結せず残業をさせてきた,残業代を公立学校と同じように給料月額の4%しか支給していないという例が多く存在します。

労働基準法に反した労働を課していたということになりますと民事で未払残業代を請求されるだけでなく,悪質なものは刑事事件として懲役・罰金刑に処される可能性もあります。

教員の労働条件を長年見直してこなかったとお思いになる学校経営者は,この機会に労働条件が現行法に反していないか,この分野に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

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