過重労働撲滅特別対策班(かとく)

1 過重労働撲滅特別対策班(かとく)とは

過重労働撲滅特別対策班(かとく)とは,厚生労働省により設置された組織で,ベテランの労働基準監督官により構成されています。過重労働撲滅特別対策班(かとく)は,悪質な長時間労働,過重労働を防止するため,労働基準法違反の長時間労働,過重労働を行う事業所を監督・指導する特別な組織です。

 

2 長時間労働,過重労働に対する取り締まりの強化の経緯について

過重労働撲滅特別対策班(かとく)は,まず,平成27年4月に,東京労働局と大阪労働局に,各6,7名の労働基準監督官で構成される組織として設置されました。平成28年には,更に,全国の労働局47局に,過重労働特別監督管理官(長時間労働に対する監督指導を専門とする者)が各1名ずつ配置されました。また,厚生労働省の労働基準局監督課には,過重労働特別対策室(本省かとく)が設置されました。これにより,厚生労働省と全国の労働局が連携して長時間労働,過重労働に対する取り締まりを強化する体制が整えられました。

これまで,労働基準監督署による重点監督の対象は,月100時間超の残業が疑われる事業所でした。過重労働撲滅特別対策班(かとく)の設置に伴い,月80時間超の残業が疑われる全ての事業所を対象とするよう,重点監督の対象が拡大されました。

もちろん,全国各地の労働局の他の労働基準監督官も,通常業務の一環として,長時間労働,過重労働に対する取り締まりを行ってきました。しかし,これまでは,各労働局が事業所に対する指導を実施しても,長時間労働,過重労働の実態が改善されない場合が多く,これが問題視されてきました。そこで,長時間労働,過重労働の実態を改善するため,経験豊富なベテランの労働基準監督官を組織化して,長時間労働,過重労働事案に専門的に対応していく目的で,過重労働撲滅特別対策班(かとく)が設置されるに至ったのです。

 

3 過重労働撲滅特別対策班(かとく)の権限,捜査方法について

長時間労働,過重労働が常態化している悪質な企業,いわゆるブラック企業の中には,社員の労働時間のデータを改ざんする企業も存在します。過重労働撲滅特別対策班(かとく)は,このような事案に対しても,デジタルフォレンジックによるデータ解析,復元等の専門的な捜査を行うことができます。

また,労働基準監督官は,事業所に立ち入って捜査する権限や,違法な長時間労働事案につき特別司法警察員として検察官へ送致する権限(送検)を有しています。過重労働撲滅特別対策班(かとく)が設置されるまでは,各労働局の労働基準監督官は,現実にはこのような権限を行使せず,監督・指導のみに留めるケースが多かったようです。過重労働撲滅特別対策班(かとく)は,各労働局の指導による改善の見受けられない事業所等に対し,捜査権限を行使した上,違法性が認められる場合には送検も行います

 

4 まとめ

このように,長時間労働,過重労働に対する取り締まりは年々強化されています。企業の皆様は,今一度,自社の社員が長時間労働,過重労働となっていないか,36協定等の確認残業時間の削減へ向けた見直し等を行われることをおすすめします。見直し等に際しては,労働問題に詳しい弁護士にご相談ください。

また,実際に労働基準監督官から指導を受けた場合や,過重労働撲滅特別対策班(かとく)から捜査された場合にも,その後の対応が極めて重要になりますので,労働問題に詳しい弁護士にご相談ください

 

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