Q&A「均等待遇(パートタイム・有期雇用労働法9条)への対策【同一労働同一賃金】」
テーマ:均等待遇(パートタイム・有期雇用労働法9条)への対策【同一労働同一賃金】
質問
当社は、従業員20名、事業所1つの小規模な運送会社です。
運転手には、正社員と有期雇用契約社員の2つの雇用形態があり、所定の勤務時間も昇給の程度も変わりません。
このような雇用形態は、均等待遇を求めるパートタイム・有期雇用労働法9条との関係で問題がありますか?また、問題がある場合、どのように対策をすればよいでしょうか?
回答
パートタイム・有期雇用労働法9条は、①「職務の内容が通常の労働者と同一の」パートタイム・有期雇用労働者が、②「当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの」については、パートタイム・有期雇用労働者であることを理由として、「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて差別的扱いをしてはならない」と定めています(均等待遇)。
また、同法9条に違反する場合、報告徴収、助言、指導、勧告の対象となっており、勧告に従わない事業主に対しては、事業主名の公表の対象となっています(同法18条)ので、注意が必要です。
ご相談の件は、同法9条に違反するおそれがありますので、同法9条の要件を外す取り組みをする必要があるのですが、ご相談の件では、事業所が1つしかなく、転勤の有無で②の要件を外すことはできません。
そこで、同法9条の均等待遇に違反しないように、①業務に伴う責任の程度と②昇進の点で、正社員と契約社員とに明らかな差異を設けるとよいでしょう。
具体的には、①については、正社員には繁忙時や急な欠勤者が出た場合の対応を求める一方で、契約社員にはそれらの対応を求めないといったように責任の程度を異にすることが考えらえます。
②についても、正社員だけを一定の役職者以上に上げていく等といった差異を設けることが考えられます。
同一労働同一賃金への対応についてお困りの経営者の方は、ぜひ一度労務問題に詳しい弁護士にご相談ください。
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