Q&A「新型コロナウイルス感染症と安全配慮義務①」
テーマ:新型コロナウイルス感染症と安全配慮義務①
質問
新型コロナウイルス感染症への予防のため、会社の入口に消毒液とマスクを置いていましたが、業者の在庫不足のため確保が難しくなりました。従業員からは速やかに設置するように要求されていますが、このような状況下において、会社が安全配慮義務違反を問われることはありませんか?
回答
安全配慮義務は、使用者が労働契約に伴い、労働者がその生命や身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をなす債務であり(労働契約法5条)、労働者の生命や身体等の安全そのものを請け負う結果債務ではありません。
消毒液やマスクの供給が大幅に不足している状況下において、会社がこれらの物資を確保できなくなったこと自体をもって、安全配慮義務違反に問われることはありません。もっとも、感染予防のために、できる限り、時差出勤や在宅勤務等を検討するのが望ましいでしょう。
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