Q&A「テレワークにおける『中抜け』時間への対応」
テーマ:テレワークにおける「中抜け」時間への対応
質問
我が社では、コロナ禍ということもあり、テレワークを実施しています。しかしながら、テレワーク中の休憩時間以外に私用で長時間席を離れる従業員がいます。そこで、このような従業員に対し、どのように対応していけばよいでしょうか?
回答
コロナ禍ということもあり、テレワークを実施している企業様のなかには、「中抜け」時間への対応にお困りの企業様も多いと思います。「中抜け」とは、休憩時間以外にやむを得ず私用で長時間席を離れることをいいます。例えば、子どものお迎え、通院、学校行事への参加、銀行・市区町村役場への所用等が考えられます。
そもそも、これらの「中抜け」は、管理者である上司や会社の許可を得ていることが前提です。無断で離席して長時間戻らないのは、従業員の債務不履行(労務提供の不履行)となります。
「中抜け」に対する会社の対応方法としては、①休憩時間として扱う方法と、②時間単位年休として扱う方法があります。まず、①休憩時間として扱う方法をとる場合、始業・終業時刻を変更し得る旨を就業規則に記載しておく必要があります。これに対して、②時間単位年休として扱う場合には、労使協定が必要となります。なお、この場合、時間単位年休として扱った分は、5日の年休付与義務の付与にカウントされないことに注意してください。
また、テレワークガイドラインにも定められていますように、中抜け時間を含め、労務の適正な把握・管理が求められます。ただし、賃金控除しないのであれば中抜け時間について把握は不要であり、始業・終業時刻のみ把握すればよいことになります。
企業は、日々、労働組合からの団体交渉の申し入れ、元従業員からの残業代請求、ハラスメント(パワハラ、セクハラ)の訴え、解雇に伴うトラブルなど、あらゆる課題を抱えています。誰にも相談できずに悩まれていらっしゃる経営者の皆様も多いと思いますが、まずは一度、労働問題に強い弁護士にご相談ください。