Q.労働組合との協約に反して協議を得ずに破産手続開始申立てをしても問題はないか。
【破産手続開始申立てと労働協約】
質問
会社を経営している者ですが、経営状況が厳しく、このたび会社を破産手続申立てしようと考えております。ただ気がかりな点として、労働組合との間に、「使用者が破産手続開始申立てをする際は事前に労働組合と協議をし、その同意を得て申立てをする」旨の約定があるのですが、協議を得ずに破産手続開始申立てをしても問題はないでしょうか?
回答
破産手続の目的は、総債権者に対する公平な債権の満足の確保にあります。総債権者の利益を労働組合との合意によって制約することは、破産法の理念に照らし許されません。
したがって、協議を得ずに破産手続開始申立てをしても不適法ではないと考えられます。
なお、協議を得ずに破産手続開始申立てをすることは、使用者の労働組合に対する債務不履行とはなり得ますが、労働組合に具体的にどのような損害が発生するかは不明確です。
企業は、日々、労働組合からの団体交渉の申し入れ、元従業員からの残業代請求、ハラスメント(パワハラ、セクハラ)の訴え、解雇に伴うトラブルなど、あらゆる課題を抱えています。誰にも相談できずに悩まれていらっしゃる経営者の皆様も多いと思いますが、まずは一度、労働問題に強い弁護士にご相談ください。