Q.採用した外国人の在留目的が予定と異なる場合、どのように対処すべきでしょうか?
テーマ:外国人労働者を雇用する際の注意点と在留目的が異なる場合の対処法)
質問
このたび初めて採用しようとした外国人の在留目的を確認したところ、在留目的が弊社で予定していた業務内容と異なっていることがわかりました。わが社としてはどのような点に注意しなければなりませんか?
また、今後どのように対処すればよいでしょうか?
回答
外国人労働者を採用する際に確認すべき事項は次の2点です。
①就労させようとする業務の内容を許容する在留資格か
②就労させるために必要な在留期間があるか
入管法上、違法に就労活動を行った者に不法就労活動をさせた者には、不法就労助長罪が成立し(入管法73条の2)、3年以下の懲役、300万円以下の罰金、又は併科のおそれがあります。採用担当者等の直接の行為者だけでなく、その行為者の属する会社や代表者個人にも罰金刑の適用のおそれがあります(入管法76条の2)。
なお、不法就労助長罪が適用された場合、強制退去事由に該当しますので、外国人経営者の場合、廃業の危機がありますし、派遣会社は許可の取消事由となるおそれがあります。
また、今後5年間、外国人技能実習生や外国人特定技能者の受入れができなくなるおそれがありますので、これらの制度を利用されていたり、今後利用を検討されている企業様は、特にご注意ください。
なお、現在の在留目的と業務内容が異なる場合には、在留資格の変更を申請する必要があります。在留資格の変更は、法務局大臣が適当と認められる相当の理由があるときに限り許可されます(相当性・入管法20条3項)が、業務内容に適合する在留資格の変更が認められない場合、雇用すると不法就労助長罪となりますので、ご注意ください。
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企業は、日々、労働組合からの団体交渉の申し入れ、元従業員からの残業代請求、ハラスメント(パワハラ、セクハラ)の訴え、解雇に伴うトラブルなど、あらゆる課題を抱えています。誰にも相談できずに悩まれていらっしゃる経営者の皆様も多いと思いますが、まずは一度、労働問題に強い弁護士にご相談ください。