Q&A「始末書をとる場合の注意点」
テーマ: 始末書をとる場合の注意点
質問
問題行動の多い社員がいて困っています。会社として始末書をとろうと思うのですが、その際の法的な注意点を教えてください。
回答
始末書には、「懲戒処分としての始末書」と「業務上の注意指導としての始末書」の2種類があります。業務上の注意指導として始末書をとった後、なおも問題行動を繰り返したために、懲戒処分として始末書をとろうとした場合、対象社員から、「すでに懲戒処分としての始末書は出した」と反論されるおそれがあります。
そこで、このような反論を避けるために、業務上の注意指導として提出を求めるのであれば、始末書ではなく顛末書を求めるようにしてください。
また、始末書の提出を拒否された場合、思想良心の自由がありますので、それ以上の強制をしたり、懲戒処分をしたりせずに、拒否されたことを記録に残して証拠化しておいてください。また、仮に始末書の内容が不十分であったとしても、書き直しを求めず、返還もしないようにしてください。その始末書自体が改善可能性のないことを示す証拠になり得ます。
なお、始末書の提出を拒否された場合や、内容が不十分な場合、懲戒処分の趣旨を記載した通知文は交付したほうがよいでしょう。その後、対象社員が問題行動を繰り返した場合に、改善可能性のないことを示す証拠となり得ます。
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