Q&A「就業中や休憩時間中にノンアルコール飲料を飲む行為を懲戒処分にすることはできますか?」
質問
運送業を経営している者です。先日、弊社のドライバーが昼休憩中にノンアルコールビールを飲んでいたので、止めるように注意したところ、「ノンアルコールビールはお茶やジュースと同じで、お酒ではないのにどうして駄目なのか?」といった反論が返ってきました。
当社としては、取引先との関係からも、休憩時間だけでなく就業中も従業員がノンアルコール飲料を飲む行為を禁止にしたいと考えています。
このような行為を懲戒処分にすることはできるのでしょうか。
回答
従業員は、原則として休憩時間を自由に利用することができます。ただし、休憩時間中だからといって何をしてもよいわけではなく、職場の秩序を害するような行為に対しては、使用者の管理権に基づいて一定の制限を課すことは可能です。
ノンアルコールビールは、飲食店等の呑み会の席で提供されることも多く、外観的にはアルコールビールと同じように見えます。
従業員がノンアルコールビールを飲んでいるところを他の従業員や取引先に目撃されれば、不快な感情を抱かれたり、誤解を与えたりする恐れはあります。その従業員がドライバーであればなおさらでしょう。
そのため、就業規則において、就業中(休憩時間を含む)にノンアルコール飲料を飲む行為を懲戒事由として定めることで、注意指導をしたり懲戒処分をすることは可能と考えられます。
なお、トラブル防止や効果的な指導をするためにも、就業規則の一般的な服務規律違反事由を根拠とするのではなく、就業中(休憩時間を含む)にノンアルコール飲料を飲む行為を懲戒事由として就業規則に明記しておくのがよいでしょう。
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