Q&A「職務分離(職務の内容を明確に区別すること)は同一労働同一賃金への対応策として有効か?」
テーマ:職務分離(職務の内容を明確に区別すること)は同一労働同一賃金への対応策として有効か?
質問
パートタイム・有期雇用労働者と正社員との待遇格差を考えるときに、それぞれの職務分離(職務の内容を明確に区別すること)をしておくことは、同一労働同一賃金への有効な対応策となるのでしょうか?
回答
パートタイム・有期雇用労働法8条は、不合理な待遇差の禁止について、下記の2点をそれぞれ求めています。
①前提条件が同じ場合には、同一の待遇(均等待遇)
②前提条件に違いがある場合には、違いに応じた待遇(均衡待遇)
この点、正社員とパートタイム・有期雇用労働者とを職務分離する(職務の内容を明確に区別する)ことで、各待遇の性質・目的となる事情を異にでき、前提条件に違いがあるといえる状況を作り出すことができます。
これに加えて、正社員とパートタイム・有期雇用労働者のそれぞれの賃金の性質という前提条件も異なれば(職能給と職務給等)、職務の内容の違いに応じた許容される待遇格差を想定することはさらに困難となるでしょう。
そういった意味でも、正社員とパートタイム・有期雇用労働者について、職務分離(職務の内容を明確に区別すること)をしておくことは、同一労働同一賃金への有効な対応策となり得ると考えられます。
同一労働同一賃金への対応についてお困りの経営者の方は、ぜひ一度労務問題に詳しい弁護士にご相談ください。
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