Q&A 同一労働同一賃金との関係で、定年後再雇用者の年収は定年前と比べどの程度に制度設計すればよいでしょうか?
テーマ:同一労働同一賃金との関係で、定年後再雇用者の年収は定年前と比べどの程度に制度設計すればよいでしょうか?
質問
当社では、希望者を定年後再雇用していますが、同一労働同一賃金との関係で、定年前と比べてどの程度に制度設計すればよいでしょうか?
回答
定年前と定年後とで、職務の内容と職務の内容及び配置の変更の範囲が同一であれば、通常の労働者の年収に比べ、7割~8割程度が目安と考えられます。
この点、明確な根拠があるわけではありませんが、長澤運輸事件最高裁判決において、定年退職後に再雇用された者について、年収ベースで約21%の減額をしていた事案について、精勤手当の不支給とその手当を時間外手当の計算の基礎に入れなかった点を除けば、定年前後の賃金格差は不合理とは認められないと判断しており(最高裁平成30年6月1日)、参考となります。
これに対して、定年前と定年後とで、職務の内容と職務の内容及び配置の変更の範囲が同一でない場合、事案ごとの要素が重要となりますが、同一である場合よりもある程度低い割合でも不合理ではないと判断される可能性が高いでしょう。
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