Q&A「過去のユニオン活動を理由とした不採用」
テーマ:過去のユニオン活動を理由とした不採用
質問
採用にあたり,過去のユニオンでの活動を理由に不採用としても問題ありませんか?
回答
採用の拒否が従前の雇用契約関係における不利益な取扱いと評価できる場合などの特段の事情がない限りは問題ありませんが注意は必要です。
解説
労組法7条1号では,労働者の権利を保障するため,
労働組合の組合員であることなどを理由として
①解雇その他不利益な扱いをすること
②労働者が労働組合に加入しないことや労働組合から脱退することを雇用条件とすること
(黄犬契約といいます)
を禁止しています。
では,雇入れ前の段階で,労働組合に入っていたことを理由に不利益に取り扱うことは許されるのでしょうか。
この点について,最高裁はJR北海道・日本貨物鉄道事件(最一小判平成15・12・22民集57巻11号2335頁)において次の通り判示しています。
雇入れの拒否は、それが従前の雇用契約関係における不利益な取扱いにほかならないとして不当労働行為の成立を肯定することができる場合に当たるなどの特段の事情がない限り、労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱いにも、同条3号の支配介入にも当たらないと解するのが相当である。 |
つまり,採用拒否は,特別な場合を除き,不利益取扱いには該当しないということです。
理由としては,以下の通りです。
① 使用者には広く採用の自由が認められていること
② 法は,雇い入れ段階については黄犬契約のみを禁止し,それ以外は禁止していない
もっとも,特段の事情が認められる場合は不利益な取扱いと認定されうること,上記判例は学説からかなり批判をうけていることからすると,安易に採用を拒否した場合,紛争に発展し労働組合が介入してくる可能性がありますのでご注意ください,
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