Q&A「合同労組・ユニオンからの団体交渉」
テーマ:合同労組・ユニオンからの団体交渉
質問
労組法上の労働組合ではない合同労組・ユニオンからの団体交渉は拒否しても問題はありませんか?
回答
労働者がその経済的地位の向上を目指して自主的に組織した団体であれば,憲法に定められた労働基本権を享受できる可能性があるので、慎重な対応が必要です。
解説
1 「労組法上の労働組合」とは?
労組法上の労働組合とは,
「①労働者が主体となって,②自主的に,③労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する④団体又はその連合団体」をいいます(労組法2条)。
また,
⑤ 労働組合の民主的な運営を確保するために法定された事項を記載した規約を作成すること(民主性)
も必要となっております。
また,消極的な要件として
⑥ 役員や使用者の利益代表者(監督的地位にある労働者)が加入していないこと
⑦ 団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けていないこと
が挙げられます。
これらの①~⑦の要件を満たしてはじめて「労組法上の労働組合」といえるのです。
労組法上の労働組合に該当し,労組法所定の資格審査にパスすると、労組法上の救済を受けることが可能となります。
2 要件を満たしていない労働組合はどうなるか
⑤の要件を満たさない場合と⑥⑦の要件を満たさない場合があります(①~④がなければおよそ労働組合とは言えません)。
この場合,労組法所定の要件を満たしていない以上,労組法上の救済を一部もしくは全部を享受することができません。
もっとも,労働者の団結権は,憲法で保障されている権利です。
憲法28条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。 |
そのため,①~④を満たす団体は,憲法上保障された団結権,団体交渉権,団体行動権という労働三権,及びその効果としての刑事免責,民事免責,不利益取扱禁止という法的保護を享受することになります。
ですので,使用者側としては,労組法上の労働組合ではない合同労組・ユニオンから団体交渉を申し込まれた場合,一律に拒否することは避けた方がいいでしょう。
もっとも,そのような合同労組・ユニオンとの交渉は企業別組合と比較して、紛争の程度が激しくなる傾向にあります。団体交渉の申し込みがあった場合は,一度弁護士に相談することをお勧めします。
企業は、日々、労働組合からの団体交渉の申し入れ、元従業員からの残業代請求、ハラスメント(パワハラ、セクハラ)の訴え、解雇に伴うトラブルなど、あらゆる課題を抱えています。誰にも相談できずに悩まれていらっしゃる経営者の皆様も多いと思いますが、まずは一度、労働問題に強い弁護士にご相談ください。