ユニオン活動についてのアンケートに法的問題点はあるか

1 労働組合法違反

組合活動についての内容を含むアンケートを行う場合,不当労働行為の支配介入に該当すると判断される可能性があります。

 

不当労働行為とは,労働組合活動に対する妨害行為のことです。このような不当労働行為は,労働組合法7条で禁止されており,その中で使用者による労働組合の支配・介入が禁止行為として挙げられています。

よって,アンケートの実施により、労働者の組合活動を萎縮させた等と判断されると,使用者による支配介入があったと判断され,労働組合法7条に違反することになります。

 

以下の大阪市の職員アンケートの事例は,具体的にアンケートの質問内容・アンケートが行われた背景を考慮して,不当労働行為に該当すると判断された事例です。

 

2 具体例:大阪府労委平成24年(不)第6号

(1)事件概要

大阪市が職員に対し、業務命令として、正確な回答がなされていない場合は処分対象となる旨明記した上で、労働組合活動への参加等に関する事項を含む内容のアンケート調査を実施したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件。

 

(2)調査の質問項目等について

アンケート調査の質問項目及び回答選択肢の中には、本件調査チームによる調査報告書に記載されている「違法ないし不適正行為」(実質的ヤミ専従及び勤務時間内組合活動など)とは直接の関係がなく、むしろ、組合活動そのものについて質問するものであったり、アンケート作成者側が組合及び組合活動について否定的な評価を有しているとの印象を回答者である職員に与えるような項目であったりするものが少なからず存在する。一方、市長がこれまでの市職員の組合活動について否定的な見解を強く表明している状況下で強制力を背景とし、かつ記名式で行われた調査であったことも考慮すれば、その余の項目について検討するまでもなく、本件アンケート調査を実施したこと自体が組合活動に対する支配介入であったといわざるを得ない。

 

3 罰則

不当労働行為と該当する場合でも,刑事罰はありません。しかし,不当労働行為については,労働委員会に対する救済申立をすることができ,労働委員会において不当労働行為と認められた場合には,使用者に対して不当労働行為を中止するよう命令する「救済命令」が出されることになります。

また,不当労働行為について,民事上の責任として損害賠償責任が認められる場合もあります。

 

4 結論

アンケートの実施は必ずしも全て不当労働行為になるわけではありませんが,その組合活動の内容に踏み込む質問については不当労働行為に該当する可能性が高くなります。アンケートを行う場合は,事前に法律家に相談のうえ,質問内容を吟味して行ったほうが安全です。

 

 

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