採用内定と内定取消し
1 採用内定とは
採用内定とは、始期付解約権留保付労働契約をいいます。入社日から就業が始まること、内定取消しという「解約権」が留保されていることが特徴です。
2 内定取消し
では、内定はいつでも取り消すことができるのでしょうか。
この点、大日本印刷事件(最判昭和54年7月20日)において、最高裁は次のように述べています。すなわち、「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当である場合」にのみ、内定を取り消すことができます。
ですので、面接時に容易に知ることができた事実を理由に、内定取消しは許されないことに注意してください。
3 内定取消しに対する行政の対応
職業安定法施行規則が改正され(平成21年1月19日公布・施行)、採用内定取消しの内容が以下のいずれかに該当する場合は、原則として企業名の公表の対象となり得ますので、ご注意ください。
①2年以上連続で取り消した場合
②同一年度内に10名以上の者を取り消した場合
③明らかに事業活動の縮小によりやむをえなかったとはいえない場合
④理由の十分な説明がなく、又は就業先の確保に向けた支援を行わなかった場合
採用内定問題についてお困りの方は、ぜひ一度労務問題に詳しい弁護士にご相談ください。