退職勧奨(円満退職に向けて)

1.退職勧奨とは

退職勧奨とは、自主退職又は合意で退職することを提案する行為です。どのようなタイミング・理由であっても、原則として違法ではありません。タイミングを逸したり、理由が説得的でなければ、退職勧奨に応じてもらえる可能性が低くなるだけです。

では、退職勧奨をするにあたり、どのような点に気を付けなければならないのでしょうか。

 

2.退職勧奨の具体的な手法

(1)面談者・面談時間・面談回数

退職勧奨をする際の面談者ですが、できるだけ2名で行い、1名が面談の進行を、もう1人が書記役を担当するようにしてください。面談の進行役は、普段対象者の仕事内容をよく知っている上司等がよいでしょう。書記役は、人事部や法務部等、対象者とは別の部署の者がよいでしょう。面談時間は、原則1回30分程度で、1時間を超えないようにしてください。

対象者から「退職しません。」と明確に意思表示をされた場合は、いったん退職勧奨を中止するようにしていただき、そのルールを徹底してください。面談回数は、5~6回程度で話をまとめるつもりで行ってください。

面談内容については、ICレコーダーで録音しておくことをお勧めします。

(2)退職金の積み増し

退職の条件として、退職金の積み増しを検討することもあると思います。そのような場合、退職金の積み増し金額は、解雇して紛争になった場合の解決金のリスクと比較して検討してください。具体的には、3ヶ月分から始めて、6ヶ月分くらいまで検討することが多いです。

(3)二者択一的提示

複数の選択肢がある場合(退職金の積み増し又は配転等)、1つずつ対象者の希望を確かめると、すべて否定される可能性が高くなります。そこで、複数の選択肢がある場合には、同時に提案するようにしてください。

 

3.近時の裁判例

近時、いわゆる「追い出し部屋」問題から、退職勧奨に厳しい要件を求める裁判例が登場しています(「日本アイ・ビー・エム事件」東京高判平成24年10月31日)。今後は、個別の退職勧奨において、「退職勧奨の目的」が厳しく問われる恐れがあります。退職勧奨を行う場合は、その合理的な理由を念頭において、最適なタイミング(たとえば、人事考課のフィードバック後、売上目標が不到達となった時点、大きなクレームやミスが発覚した時点等)を考えて行う必要があるでしょう。解雇問題についてお困りの方は、ぜひ一度労務問題に詳しい弁護士にご相談ください。

 

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