団体交渉当日までにやるべきこと
1.団体交渉当日までにやるべきこと
では、実際に労働組合から団体交渉の申し入れをされた場合、会社としては団体交渉当日までに具体的に何をすればよいのでしょうか。
以下、①連絡の取り方、②団体交渉の開催日時、③団体交渉の開催場所、④団体交渉の出席者、⑤その他、団体交渉当日までにやるべきことにわけて、順に説明していきます。
2.①連絡の取り方
まず、最初に労働組合との連絡の取り方について決めましょう。
労働組合は電話でのやり取りを好む傾向にあります。また、最近はメールでのやり取りを希望してくることもあります。
しかし、面倒でも文書でやり取りをしましょう。具体的には、FAXと郵送でやりとりをするのが良いでしょう。手間がかかることを惜しまないというスタンスを見せることで、面倒くさい会社だなと思わせるのが大切です。
また、メールでのやり取りは、会社の協議内容等を労働組合に誤送信してしまう恐れがあります。やり取りが簡単な分、次から次に要求や回答が送られてくる可能性もあります。
なお、労働組合によっては、来社しての文書のやり取りを希望するところもあります。しかしながら、来社しての文書のやり取りは、会社にとってプレッシャーにもなりかねません。基本的にはFAXと郵送で目的は達成できます。ですので、最初の段階で、来社しての文書のやり取りはお断りするようにしましょう。
3.②団体交渉の開催日時
団体交渉の申入書に、具体的な開催日時が指定されている場合があります。
しかしながら、会社側も準備期間が必要ですので、変更の打診をしてもかまいません。その場合は、弁護士との打ち合わせや想定問答等の準備期間を想定して、候補日を挙げるようにしてください。要求事案によって異なりますが、おおむね2~3週間後を候補日に挙げるとよいでしょう。
なかには就業時間中での団体交渉を開催するように要求してくる組合もあります。
しかしながら、仕事と組合活動は区別するのが原則ですので、就業時間前か就業時間後に開催するようにしていただき、この要求はお断りするようにしてください。
また、終業時間後に開催する場合は、従業員の終業時間から開催場所までの移動時間を考慮したうえで、開始時間を決めるようにするとよいでしょう。
4.③団体交渉の開催場所
団体交渉の開催場所ですが、団体交渉は会社施設や組合事務所で行う必要はありません。会社施設で行うと会社に居座られてしまうおそれや、会社の近くで街宣活動をされてしまうおそれがあります。また、組合事務所で行うと会社としては心理的に不利ですし、時間も無制限になるおそれがあります。
そこで、外部の会議室を借りるようにしてください。労働者の勤務場所と住所を勘案して開催場所を決めてください。また、会議室の広さについては、手元の資料が見えない程度の広さがあるとよいでしょう。
5.④団体交渉の出席者
団体交渉の出席者は、労使双方が各自決定することができます。会社は、組合側の出席者(上部団体の役員等)について文句を言うことはできません。
また、ある一定規模の会社の場合、代表者を出席させない方がよいこともあります。その場合、労働問題に対応できる総務部長等、会社から交渉権を委任されている者でもよいでしょう。代表者が一度でも出席すると、その後も出席し続けなければならないと考えたほうがよいです。
6.⑤その他、団体交渉当日までにやるべきこと
会社としての統一性をとるため、当日のメインスピーカーを事前に決めておいてください。また、精神的な安定を図るためにも、想定問答を作っておくことをお勧めします。当日、互いの発言を記録に残すために、ICレコーダーを購入して持参するようにしてください。
なお、会場の設営を行うためや心にゆとりをもつためにも、開催場所には団体交渉開始の30分前には到着するようにしてください。
労働組合対策についてお困りの方は、ぜひ一度労務問題に詳しい弁護士にご相談ください。
以 上
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