労働組合(ユニオン)が街宣活動をしている場合の対応方法

1 はじめに

労働組合(ユニオン)が団体交渉を申し入れた場合、会社としては誠実に応じる義務があります。しかし、会社も組合側の要求を全て受け入れる必要はありません
労働組合(ユニオン)の要求をのまなかった場合、街宣活動が行われることがあります。その活動によって、しばしば虚偽の事実が流布されるなどして、会社の信用が不当に害されることがあります。
この記事では、街宣活動とは何か、街宣活動に対する対応について紹介したうえで、どのような街宣活動が違法となるのか、紛争を早期に解決する為に弁護士がどのように活動するのかを解説します。

2 街宣活動とは

街宣活動とは、街中で不特定多数の市民などに対して行う宣伝活動や演説活動を行うことです。
団体交渉では、企業側に圧力をかけ、情報を引き出す目的で行われます。
労働組合(ユニオン)による街宣活動自体は、団体行動権によって保障されている正当な活動であり、通常の態様であれば違法性はありません

3 街宣活動に対する対応

街宣活動に対しては、基本的には相手にせず、無視することが有効です。企業側が慌てて対応することになれば、むしろ先方の活動がエスカレートすることにもつながります。
街宣活動で企業に対する批判が行われていたとしても、耳を傾ける一般人はほとんどいません。適法な態様で行われている限り、企業に対するダメージは大きくありません。
街宣活動に対応してもらえないとわかれば、労働組合(ユニオン)も街宣活動を取りやめることも多いでしょう。

4 違法な街宣・争議活動の例

先述の通り、労働組合による街宣活動自体は、団体行動権によって保障されている正当な活動であり、違法性はありません。しかし、以下のような街宣活動は違法とみなされることがあります。

⑴ 取引先への街宣活動

取引先のオフィスや店舗にて街宣活動を行い、明らかに虚偽の事実が記載されたビラなどを配る行為は、企業の名誉を毀損するとして、違法な活動であるとされることがあります。また、取引先に対する街宣活動は、企業に著しい不利益をもたらすことがあるため、正当な労働組合活動ではないといえるでしょう。

⑵ 経営者の自宅前での街宣活動

社長や取締役等の経営者の自宅の前で街宣活動を行うことも、正当な労働組合の活動ではないとされる可能性があります。労使関係で生じた問題は、職場領域内で解決されるべきものであり、経営者の私生活の平穏を害し、地域社会における名誉や信用を棄損することは許されません。

5 早期解決の為に~弁護士の対応~

⑴ 団体交渉への弁護士の同席

弁護士は団体交渉に同席し、会社に代わって法的見解を主張する代理権を有しています。
相手方の法的に誤った主張を排斥し、法的見解や裁判例を提示することで、適切な解決策を導くことができます。

⑵ 労働組合(ユニオン)への警告文送付

弁護士が警告文を作成し、送付する場合、警告文の送付が不当労働行為となるリスクを回避することができます。また、弁護士から文書を送付することで、内容に説得力を持たせ、仮に警告文を無視した場合には訴訟を起こされるかもしれないというプレッシャーを与えることができます。

⑶ 裁判所への仮処分の申立て

警告書は任意に差し止めを求めるもので、強制力はありません。労働組合(ユニオン)によっては、警告文では効果がない場合もあります。その場合、裁判所に仮処分の申立てを行うことを、検討することになります。

⑷ 損害賠償を請求する

違法な街宣活動によって損害を受けた場合、慰謝料や実際に被った損害の賠償を請求できる場合があります。街宣活動が原因で企業の売り上げが減少した場合、因果関係を客観的に立証できる証拠があれば、売り上げ減少分を損害として請求することもできます。

⑸ 刑事告訴する

度を越えた街宣活動や争議活動に対しては、名誉毀損罪や業務妨害罪などの罪で刑事告訴することも検討しましょう。また、労働組合による街宣活動や争議活動によって他の労働者が負傷した、社内の備品が破壊されたなどのケースも、罪に問える可能性があります。

6 おわりに

労働組合による街宣活動は、団体交渉が上手くいかないことを原因として実施されることが多いです。早い段階から弁護士が介入することが、労働組合(ユニオン)の活動がエスカレートしないようにする最も良い方法でしょう。
仮に、団体交渉が上手くいかず、労働組合(ユニオン)の行動がエスカレートした場合にも、弁護士が介入することで、労働組合(ユニオン)の動きをけん制することができます。
労働組合への対応にお悩みの企業様は、労働組合対応に詳しい弁護士に相談するのがよいでしょう。

 

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