合同労組・地域ユニオンへの対応
1.合同労組・地域ユニオンとは
合同労組(又は地域ユニオン)とは、中小企業労働者を組織対象とし、企業の中ではなく一定地域を団結の場として組織された労働組合をいいます。個人でも加盟できる小規模な地域労組であることが特徴ですが、合同労組も労働組合であることに変わりはありません。
大企業の少数組合も数が減ってきており、労働委員会の救済申立の大半が社外の合同労組だといわれています。
回答期限に少し遅れた、次回の団体交渉までに約束した回答が間に合わなかった等、些細な問題であっても、労働委員会に救済申し立てを行う例もあります。
2.最近の傾向
一言に合同労組・地域ユニオンといっても、大まかにいって、「なんとなく型」「権利主張型」「保身型」など、様々なタイプがあります。かつては、組合主導で動く傾向がありましたが、最近は、個人で加入してくる組合員の動機・意向を重視する傾向にあると言われています。
「なんとなく型」は、組合員間での温度差があり、ときおり脱退する者もいるのが特徴です。
「権利主張型」は、残業代請求が多く、パワハラとそれに伴うメンタルヘルス不調の議題の扱いが増えているのが特徴です。全額回収したい者と早期解決したい者とで方針が異なる等、仲間割れするケースもあります。
「保身型」は、退職勧奨に伴うトラブルが議題になることも多いのが特徴です。
退職勧奨の対象になった場合等、自分の身を守るための予防的な組合結成もあります。
3.合同労組・地域ユニオンの強みと弱み
(1)強み
次のような強みがあると言われています。
・少額の案件でも引き受けることができる
・ビラまき、街宣活動、取引先への働きかけ等、心理的な圧力をかけてくる
・最近は、ブログ、YouTube等インターネットを用いた組合活動が得意
(2)弱み
それほど大きな組織ではないことが多く、人、金、時間すべてにおいて不足しがちです。ですので、持久戦に非常に弱いといった傾向があります。
4.交渉のポイント
団体交渉においては、無理にけんか腰になる必要はありません。言い負かそうとはせずに、感情的にならず淡々と対応するのがよいでしょう。
互いにどこかで解決しようと考えているので、仮に厳しい団体交渉が続いても、会社側から団体交渉を打ち切らずに、我慢して対応することが大切です。
時には厳しい言葉を浴びせてくることがありますが、労働組合の言葉に惑わされず、淡々と対応するのがよいでしょう。
要求事項については、会社で検討して回答するようにしてください。その際は、事前に回答書を用意しておくことをお勧めします。
労働組合対策についてお困りの方は、ぜひ一度労務問題に詳しい弁護士にご相談ください。
以 上
- 争議行為への損害賠償請求
- 労働組合(ユニオン)が街宣活動をしている場合の対応方法
- 労働組合からの不当な要求に対する対応例
- 労働組合からの団体交渉の申し入れから解決までを弁護士が解説
- 労働組合から未払い残業代について団体交渉を申し込まれた場合の対処法
- 労働組合との団体交渉で弁護士を入れることのメリット
- 労働組合との団体交渉で議事録の作成・録音をする必要性
- 労働組合との団体交渉と使用者の誠実交渉義務
- 労働組合との団体交渉において在籍したまま残業代を請求された場合
- 労働組合対策でやってはいけない対応
- 労組法上の労働組合ではない団体からの団体交渉について
- 合同労組・地域ユニオンへの対応
- 合意が成立する見込みがない場合の誠実交渉命令
- 団体交渉の各議題(テーマ)と対応
- 団体交渉の進め方
- 団体交渉を申し入れられたら
- 団体交渉当日までにやるべきこと
- 就業時間中に労働組合の活動を行った組合員を懲戒処分にできるのか
- 組合が社内に複数存在する場合