会社が知っておくべき「メンタルヘルス問題」の注意点

1 「メンタルヘルス問題」とは

メンタルヘルスとは、体の健康ではなく、こころの健康状態を意味します。会社が抱えるメンタルヘルス問題は、まずは個人の問題として把握されますが、その背後には不適切な業務管理や人材管理など、会社内の様々な問題が隠れていることが多いです。
最近、欠勤や休職をする従業員が増えてきたと感じるのであれば、それは会社が抱えるメンタルヘルス問題が顕在化してきた証拠かもしれません。
ここでは、会社がメンタルヘルス問題に対応する際の注意点について解説していきます。

2 会社がすべき対応

メンタルヘルス不調による従業員の勤怠不良等の問題は年々増える一方です。個人のことだから、と会社が漫然と放置していれば、取り返しのつかない事態になりかねません。メンタルヘルス不調の従業員に対しては、きめ細やかな対応が求められるのです。
会社は、従業員に対して安全配慮義務を負っています。従業員からの申し出がなかったとしても、客観的にみて業務を続けさせることがさらにメンタルヘルスを悪化させるような場合には、会社の判断で速やかに業務から離脱させて休養させるか、他の業務に配転させるという対応が必要になることもあります。これを怠っていると、従業員の更なるメンタルヘルス悪化を招いてしまった場合に、会社に安全配慮義務違反があるとして、損害賠償責任を負う可能性があるのです。
どんな問題にも共通していえることですが、早期発見や予防が非常に重要です。体の不調とは異なり、メンタルヘルス不調はプライバシーの問題とも密接に絡みあっているので、問題が大きくなる前に予防するのが一番といえるでしょう。平成27年から始まったストレスチェック制度も、従業員が自身のストレス状況を把握することにつながるため、有用です。

3 メンタルヘルス問題における会社のリスク

メンタルヘルス不調を抱えた従業員を放置し、または対応を誤って更に不調が悪化することで、最悪の場合には自殺等の問題が発生することがありえます。業務による心理的負荷によって精神障害を発病したと認められる者が自殺を図った場合などは、原則として業務起因性が認められ、会社が遺族に損害賠償義務を負うことはもちろん、社会的な信用を失ったり、更なる組織の問題が明らかになったりという危険性が考えられますので、会社としても計り知れないダメージを負うこととなります。

4 従業員のメンタルヘルス管理

これまで述べたように、メンタルヘルス問題には非常に大きな危険が潜んでいるといえます。対応があっているのか、そもそも組織自体に問題はないか、会社内だけではその対策や組織作りに限界があるのは仕方のないことです。
近年、メンタルヘルス問題については、予防の重要性が明らかになってきていますが、そのためにも、事前に専門家である弁護士に相談し、第三者的な目線も取り入れたうえで、慎重な対応をとることが求められています。
メンタルヘルス問題の予防や対応にお悩みの方は、是非一度弁護士にご相談ください。

 

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